悪役令嬢は王子との秘密の双子を育てています 〜見つかったので処刑されるかと思いましたが、なぜか溺愛されました〜

「これ、君のだろう。」

 そう言い、帽子を被せてくれた瞬間、メリアンは正面から見た彼の顔から目が離せなくなってしまった。強い風になびく銀色の髪と海のように爽やかな青色の瞳、そして顔の作りそのものが、この世の何よりも美しくて。

(なんて綺麗な男の子なの・・・)

 あまりにもメリアンが彼のことを見つめ続けるので、彼は不機嫌なのか、照れているのか、よくわからない引きつった顔をしながら、どこかへ行ってしまった。

 その後、シュトルツ公爵がメリアンを迎えにきてくれた。メリアンがいなくなった後、メリアンを宮殿中探し回っていたらしい。怒られると思ったが、「心配した。」と抱きしめられた。父は厳格だが、同時に愛情深い。

「フェルディナンド王子がお前が中庭にいると、教えてくれたんだ。」
「王子?・・・あの銀色の髪の・・・?」
「ああ。王太子殿下の第二王子であられるフェルディナンド殿下だ。」

 その日以来、メリアンはフェルディナンド王子に対して恋心を抱くようになり、自分から父について王宮を訪れては、フェルディナンド王子を追いかける日々が九年ほど続くのであった。
< 13 / 56 >

この作品をシェア

pagetop