悪役令嬢は王子との秘密の双子を育てています 〜見つかったので処刑されるかと思いましたが、なぜか溺愛されました〜
夕暮れ時、モーリスがメリアンの部屋を訪れた。
「王子殿下が夕食を共にしたいとのことです。」
「そうですか、ありがとうございます。」
三人はモーリスに連れられロイヤルダイニングルームに向かった。広々とした部屋の中心には二十人ほど腰かけることのできるほど長い大理石のテーブルが置かれている。そんな豪華なテーブルの上には春花のアレンジメントが飾られ、季節に合ったテーブルコーディネートが施されていた。
王子は既に席に座り待っていた。
メリアンはお詫びの挨拶をするため、子供たちを引き連れ王子の前に立った。
「お待たせして申し訳ございません。」
王子はメリアンの姿に目を留めたかと思うと、少し困ったような顔をし、そっと目を逸らした。このように避けられるような態度には昔から慣れていたが、やはり以前と変わらず落ち込んでしまう。メリアンの様子の変化に気づいた王子は、何かを言いかけたかのように口を開いたが、結局何も言わずに黙り込んでしまった。
そんな時リリスが「ドレスかわいい?」とフリフリのドレスを王子に見せた。
すると王子は椅子から降り、二人の背丈ほどに屈んで「二人とも、とてもよく似合っている。」と、褒め言葉をかけながら頭を撫でた。すると子供たちは嬉しそうににっこり笑った。
(私のことが嫌いでも、なんだかんだ子供たちのことは可愛いと思ってくれているのね。)
そのことに安心した。もし自分がここで、処罰を受けたとしても、二人はちゃんとメリアンの罪を背負わず生かしてもらえるだろう、と思えた。