悪役令嬢は王子との秘密の双子を育てています 〜見つかったので処刑されるかと思いましたが、なぜか溺愛されました〜
第二章

精霊魔法

 カタルニア王国の王宮の裏庭は、そのままの自然を保ったような光景が広がっていた。高く太い木々が茂り、芝生は長く伸び、草花は自由自在に咲き乱れている。吹き抜ける爽やかな風に葉がそよそよと揺れる音が心地よく響く。

 太陽の光が木漏れ日となって降り注ぐ、最低限整備されているだけの道を、カタルニア王国第二王子フェルディナンド王子は青色のマントを身にまとい、メリアンと子供たち、そして騎士団長であるエリオットと側近のモーリスと共に歩いていた。

 メリアンは淡い黄色いドレスを、双子は形違いの水色の洋服を着ている。どれも、メイドが王都での最先端ファッションで、一押しだと選んでくれたもの。六年も離れていると、流行は変わるもので、今はレースがとても流行っているらしく、このドレスの上半分はレースをふんだんに使ったデザインだ。目新しいが、メリアンが好きな要素も散らばり気に入っている。子供たちは無論何を着ても似合う。

 王宮の裏庭は精霊魔法の属性を代々受け継いてきた王族たちが、幼少期から精霊魔法の修行を行い、精霊たちと交流を深めるために使われている。そのため、庭全体が不思議な力に包まれたような神秘的な場所だ。なので王族でないものが足を踏み入れることは滅多にない。メリアンも入るのは初めてだった。
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