悪役令嬢は王子との秘密の双子を育てています 〜見つかったので処刑されるかと思いましたが、なぜか溺愛されました〜

欲張り

 それから数日、フェルディナンド王子は、メリアンたちの『迎えに』費やした1週間分の執務などを片付けなくてはならず、執務室に籠ることが多かった。

 しかし、5分でも空いている時間を見つけると子供達に魔法を教えると言う口実でメリアンたちと一緒に過ごしていた。

「おうじ、みて、みて!!」

 なかなか会うことが出来ない王子が現れると、我先にとルカはフェルディナンド王子がいない間に自主練した魔法を積極的に見せる。リリスは控えめに「ちがうせいれいさんと、おはなしできるようになったよ。」と伝える。
 フェルディナンド王子は子供たちに魔法を教えることに熱心で、常に二人が理解するまで丁寧に説明したり、わずかな時間でさえも実際に精霊たちを呼び出して見せたりしていた。ルカとリリスも、王子に魔法を教えてもらう時間が楽しく、またメリアン以外の者からの愛情に触れ、ますますフェルディナンド王子を慕うようになった。
 メリアンも、フェルディナンド王子の近くにいられることで、表面的な面ではなく、今まで全く知る機会が無かったフェルディナンド王子の内面の部分に触れることができて、とても新鮮な気分だった。

 一方のフェルディナンド王子は隙を見てはメリアンと会話をしようと試みるが、そこに辿り着くまでの時間は長い。結局エリオットに「殿下、もうそろそろ戻られないと・・・」と言われて、逃すことが多々あった。

 なかなか二人の気持ちはうまく交わらないまま、けれど少しずつだが近づいているような・・・エリオットやモーリスから見ればなんとももどかしい関係が続いていた。

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