悪役令嬢は王子との秘密の双子を育てています 〜見つかったので処刑されるかと思いましたが、なぜか溺愛されました〜


 気づくと、メリアンは巨大な寝台にいて、産まれた時の姿のまま、フェルディナンド王子に抱きしめられていた。鍛えられた太い腕は、六年前よりも、ギッシリと力強いものだった。
 ここはフェルディナンド王子の部屋だ。
 あの後、何度交わっても収まらぬ熱を、フェルディナンド王子の部屋にも持ち込んだ。長い間、二人は互いを求め合い、その度にメリアンは現実に苦しみながらも、やめられなかった。何度も、何度も、求めては、果て、やがて気を失ったようだった。
 今、目に入る光は、窓から溢れる月光のみで、メリアンは慌てふためいた。

「・・・子供たちは。」

 メリアンが起き上がろうとしたが、フェルディナンド王子は自分の腕の中にいるメリアンを放さなかった。

「モーリスが今夜は子供たちを見てくれるそうだ。」
「モーリス様が?」
「だから心配しなくてもよい。」
「・・・でも。」
「お前はルカとリリスにとって素晴らしい母親だ。でもたまには、こうして休んだっていいのではないか。もうお前は一人ではないのだ。」

 そう言い、フェルディナンド王子はメリアンの耳元に口を近づけた。

「寝なおすか?それとも・・・?」

 フェルディナンド王子の湿っぽい囁きに、メリアンが顔を赤らめると、王子は甘い顔をして笑った。こんな無邪気な顔を今まで見せてくれたことはない。
もう本当に・・・どうしようもないほど好きで好きで堪らない・・・。
気持ちが強くなり、体の中が沸々と熱くなる。

「殿下・・・」
「なんだ?」
「・・・それとも、の方で。」

 フェルディナンド王子は、困ったようなため息をついた。

「メリアン、お前は本当に、たまに突拍子の無いことを。」

 熱っぽいメリアンの瞳に、我慢できなくなったフェルディナンド王子は言葉を途中で切り、メリアンを抱きしめた。そして、メリアンの赤い波打つ髪の毛を優しく掴み、愛おしそうにキスをした。
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