悪役令嬢は王子との秘密の双子を育てています 〜見つかったので処刑されるかと思いましたが、なぜか溺愛されました〜
その時、いきなり嵐が巻き起こった。それはメリアンが常々心配していたことだった。精霊魔法はコントロールが非常に難しく、ルカが同時に呼び出した水と風の精霊の相性が悪く暴れ出したのだ。
メリアンはすぐに両手に力を籠め、制御魔法を使い、それを食い止めた。ルカの魔法はまだ未熟であるため、メリアンの制御魔法で抑えることが出来たが、本来ならば、同じ精霊魔法使いでないと、精霊魔法を収めることは難しい。
二人の成長がうれしい反面、最近はこのような悩みも増えてくる。魔法の属性は遺伝だ。二人は見た目から魔法の属性まで、父親であるフェルディナンド王子の血を濃く引いている。それはフェルディナンド王子をずっと愛してきたメリアンにとっては嬉しいことであったが、同時に難しいことでもあった。
通常子供は親の魔法を見ながら育っていく。精霊魔法使いの二人と、火魔法使いのメリアンとは根本的に魔法の扱い方や出し方などが違うため、メリアンが彼らに教えられることは限られているのだ。
メリアンは子供が使う程度の精霊魔法は使えるが、高度なものは使えない。とくに精霊魔法は、自分の力ではなく、精霊の力を借りる魔法なので、日常的な精霊とのコミュニケーションも大切だ。それゆえ複雑で、危険も伴うことも多く、精霊魔法の使い手から精霊との繋がり方などを教えてもらう必要がある。しかし、精霊魔法使いは、王族の血筋に多く、この辺りにはいない。
それでも、メリアンは諦めるわけにはいかない。二人を一人で産んだ時にそう決めたのだ。
何があっても、二人を立派に育ててみせると。
「早く二人の師匠を探さなければね。」
メリアンは決意をもって二人に伝えた。すると、魔法を覚え始めの二人は嬉しそうに「そしたら、もっともっとまほうがつかえるようになるね。」「たのしみ!」とはしゃいでいた。