いつどこで誰が何をした


ボキ


「け…きを……つ、ぅけ、げ」

立花が頭を上げた瞬間だった。


ゴキゴキゴキ
ピキ…グチュ


明らかにまともではない音が教室に響く。


「ひ…ほ……ふ………け、あが…う……ぎぎぎぎ」


立花の首が…一回転した。
首が、捩れてる…

雑巾みたいに絞られて、既に一回転回ってるのにさらに捻られていく。
首の所々に切れ目が入って、そこから血が溢れ出してくる。


ゴキゴキ…グチュ
ピシピシピシ


人間ってこんな音出るんだ…

誰も声も、音すら出さない。
骨の折れる音だけが空間を埋める。


「あ…」


そして
ボトンと、立花の首が地面に落ちた。



「きゃあああああ!!」
叫び声が上がる。
悲鳴合唱に包まれる教室。
デジャヴ。


片桐が持っていた携帯を落とす。

中村が口を開けたまま顔面蒼白になっていく。

立花の隣の席の成川は血飛沫がモロにかかって放心状態になっている。

首が目の前に落ちてたきた深川が椅子から転げ落ちて泣き叫ぶ。

枕崎も山野も目を丸くしている。

東坡も席が近かったので血飛沫が少しかかっている。

久遠さんが真っ青な顔をして僕の制服の裾を掴む。
僕はその手を上から重ねるように握る。落ち着くんだと伝えるように。



何が起こった?

何故立花が死んだ?

今回の指名は山野だったはず。
それにもうクリアのRINEは届いているから今日は何もないはず。

何かした?立花が何か…





『野々村の時…『逆立ちした』を入力したのは…俺だ』


まさか…
入力した内容を話したらダメなのか?

自分が『いつどこで誰が何をした』のどれを回答したかは言って良くても…
入力内容を言うのはアウト…ってこと?


教室の後ろの方で首のなくなった立花の体がゆっくり地面に倒れていく。

それをぼんやり見ながら色々なピースが当てはまっていく。

教室は悲鳴合唱、広がる血の匂い。
その中でただ静かに考えていた僕は、ふと声を出した。


「入力内容を言ったらダメなんだ」


久遠さんがゆっくり僕を見上げた。


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