いつどこで誰が何をした


帰り道。

山野の成功で少しだけ明るくなったと思ったのに、立花のことでまた空気が悪くなったよな。

んー…
ここは喜ぶべきじゃないのかな。
立花に感謝して、みんなで協力してがんばろーの流れじゃないの?
これで余計な死を自分が迎えなくて済むんだぞ。
そんなに他人が大事かな。

そんなことを考えながらノロノロと歩く。


「ひかる」

と、背中からまたまた名前を呼ばれる。

「柳谷?」
ちょっと珍しい人だった。
今日はよく声をかけられるな。

「どうしたの」
「いや、たまたま見かけたから声かけただけ」
「柳谷もこっちだったんだね帰り道」
「ああ」
知らなかった。


「……ひかるさ」
不意に低い声を出す。
隣を歩く柳谷が横目で僕を見ていた。
「ん?」

「…普通だね」
ふつう?
「…普通って?」
「そのまんまだよ。普通。いつも通りってこと」
はあ…ん?
どゆこと?

「他のみんなはこの短期間で同級生の死を何度も目の当たりにして、精神的に不安定になったりやつれたり…散々なことになってるのに」
んー
「僕はそう見えないってこと?」
柳谷が僕から視線を外して前を向く。


少しの間を置いて、再び口を開く。
「みんなは死にたくないから這いずってでも登校してる…俺もそうだ」
うん?

「なあ、ひかるは何のために学校に来てんの?」
柳谷の鋭い視線がまた僕を捉えた。


んー…
…もしかして


「柳谷、僕が犯人かもって思ってる?」
「……」
「……」


ええーまじかー
厄介な人に目をつけられたなぁ。

柳谷は枕崎や片桐とはまたちょっと違ったタイプの頭脳派だし…
ま、今は全くお門違いの推理してるけど。


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