いつどこで誰が何をした


「入っていいぞ」
ドキドキ

教室の扉が静かに開き一人の少女が入ってきた。


おお〜

柔らかそうな茶色い髪、白い肌、くりくりした瞳に上品な顔立ち。
フローラルな香りとかしてそうな人。
とか言ってフローラルな香りがどんな香りなのかよくわかんないんだけどね。
まあとにかくふわふわしてる人。

クラスメイトもおお〜と静かに声を上げる。


「今日からこのクラスに入った久遠愛菜さんだ」
くおんあいな
不思議な名字…
ん?久遠?なんか聞いたことある気がする。

先生がぎこちなく紹介した。
深々と頭を下げて礼儀正しく会釈をしたその子。


静まり返っていた教室。
最初に口を開いたのは真ん中の席に座るイカつい大男、大本源志だった。
「久遠って、もしかしてあの久遠財閥!?」
途端に緊張の糸が切れ、騒がしくなるクラス。

「うそ!?」
「えっあの超でかいやつ!?」
「テレビで見たことある!」
「俺ん家、親父が関連会社で働いてるんだけど」
「やば!お金持ちってこと?」

久遠財閥は僕でも知ってる大きな企業だ。
薬や医療の最先端を行く研究会社。
日本中に関連会社があるし、今や世界すらまたにかける日本の大企業の一つ。

寄付金ね。なるほど。


「おい!お前ら!静かにしろ!!」
先生が慌てて黙らせる。
確かに大人でもこんなちっさい街に久遠財閥の令嬢なんか来たらパニックにもなるわな。

「えっと…じゃあ…か、軽く自己紹介を」
おいおいしっかりしろ教師。
目泳ぎすぎてダサいよ。

「はい。久遠愛菜です。不束者ですがよろしくお願いします」
さらりとお辞儀につられて髪が靡く。
しかし再び姿勢を戻せば何事もなかったかのように髪も元の位置に戻る。
1つ1つの言動が上品だなぁ。
シャラリラって効果音ついてそう。
モノホンの社長令嬢だー。


「今日からクラスの仲間になる。みんな仲良くするように」
小学生じゃないんだから。
「あと、久遠さんは出席番号8番に入るからそれ以降は一つずれるぞ。間違えないようにな」
「あーそうじゃん!」
「わー間違えそうー」
「えーまたー?」
「私は…8番から9番になるのね」

あーそっか。
じゃあ僕は…21番から22番になるのか。
うわーテストとか書き間違えそうー


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