いつどこで誰が何をした
転校生スパイスが原因か、授業中も休み時間も昨日までとは少し違った。
近寄りがたい上品なオーラに声をかけようと頑張る女子たちの微妙な空気。
何人かが軽く挨拶をしていたが、いつもよりかなり緊張してた。
それから大財閥のお嬢様を目の当たりにして静かに興奮している男子のなかなかに気色の悪い空気。
人当たりのいいよしきでもちょっと緊張しながら声をかけていた。
休み時間になるたびに僕の席に遊びに来るはずの裕樹も今日は来なかった。
おい1ぐーん
あんたらこういう時に陽キャラ出せよ〜
と思いつつ、僕もなかなか話しかけられなかった。だってまだ久遠さんの人間性がよくわからないから下手なこと言って嫌な思いさせたら申し訳ないし。
「あ、あの」
と、そんな他力本願な僕が後ろから小さく声をかけられたのは五限目の後。
まだ聞き慣れない優しい声色。
「どうしたの?久遠さん」
「あの、美術室ってどこでしょうか」
ああ、六限移動か。
「一緒に行こうか」
何気なく言っただけの言葉に心から嬉しそうに笑う彼女。
「ありがとうございます!」
調子狂うなー