いつどこで誰が何をした


「……ひかるくんってやっぱりすごいよね」
僕が自分の世界に入っていたら花里の驚いた声が聞こえた。

しまった。変に思考に呑まれてた。
何語ってんの僕。恥ず。

「な、なにが」
「だって…僕はそんな考えできないよ。自分にとっての当たり前が『普通』の一般的な概念で、平和こそがあるべき普通だって信じてやまないから」
「…いや…それで良いんだよ」
それが…世間に認められた普通なんだから。


「ひかるくん」
「…なに。近いんだけど」
花里が照れたように俯きながら擦り寄ってくる。
吐きそうになる。謎に呼吸を止めて花里の周りの空気を吸わないようにする。
「君のそういうところが僕はすごくかっこいいと思う」
「離れろ」
「あーん、ひかるきゅーん」



…ふつうね。

僕は、そんなくだらない概念に囚われ続けている。
君たちよりもずっとね。

普通の高校生に
普通の生活に
何よりもこだわっていたから。


でもこんな状況じゃ仕方ないだろ?
そう仕方ない。
仕方ないんだ。

普通じゃなくていい。
普通じゃないのが普通なんだ。
ここでは。
この空間では。

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