いつどこで誰が何をした


「入学を辞めた子がいたからだよ」



聞き慣れない声が教室の入り口から聞こえて全員がビクッと震えた。
声のした方を見れば、制服を着た2人の影がそこに立っていた。


「あ、ごめん驚かせた?」
そう申し訳なさそうに言ったのは…成川だった。その横には片桐がいる。カバンを取りに戻ってきたのか、何故か成川を連れて。

「校門のところで成川がスーツ連中に質問攻めされてたから助けたんだ」
「あの人達片桐くんが遅くまで出てこなかったから帰っちゃったと思ったみたいで…代わりにたまたま通った僕に今日の詳細を報告しろって言ってきて」
あらそんなことがあったのか。
可哀想に。嫌な大人たちだな。

「でもなんで教室まで戻ってきたの?」
「片桐くんが話したいって言うから」
……
「あー…成川がみるみるやつれていくから心配で。少しでもケアできればと思ったんだけど…まだみんないたんだね」
ケアね…


「ところでさっきの話だけど…なんだか盛り上がってたみたいで廊下まで聞こえてたからつい口挟んじゃった。ごめんね」
ああそうだ。それより
「成川、さっきのどういうこと?」
入学を辞めた子がいた?

「あ、うん…実は…この事は先生に口止めされてたから今まで誰にも話した事はないんだけどね…
清瀬奈加っていう女の子がいたんだ。本当はこのクラスにいるはずの子」

…きよせなか?
初めて聞く名前だ。


「成川、その話詳しく教えて」
枕崎が手招きした。
柳谷がスマホを取り出してメモを取る体勢に入っている。

「うん」

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