いつどこで誰が何をした
8時50分
校庭の真ん中で浜崎と越田が向かい合って立っている。
それを見守るクラスメイト。
校門の方ではスーツ連中が不思議そうに僕らを見ている。
…見てろよ。そこでずっと。
何が起こるか。
ま、何も起きないのが一番だけど。
「葉月!早く終わらせよ!そしたら気分転換にカラオケでも行こうよ!」
越田が元気づけるように大きな声で言う。
「う、うん…」
浜崎は震える手を押さえるように握った。
「大丈夫だ。じゃんけんするだけだし、すぐにクリアできるよ」
片桐が真ん中で2人を見る。
「大丈夫よ!葉月!」
三谷と牧村が励ますように言う。
「頑張れー!」
よしきも便乗する。
クラスメイトも口々に応援しだす。
「ひかる…無事に終わると思うか?」
ん?
そんな質問をしてきたのは枕崎だった。
「なんで?」
「いや…明らかにゲームの難易度は上がってるのに、ただじゃんけんをしただけでクリアになると考えるのは甘いんじゃないかと思って」
うん、僕もそう思う。
「じゃんけんってゲームだよね。勝ち負けがある」
「勝ち負け…か」
「僕が気になってるのはそこかな」
「…なるほど」
枕崎が腕を組んで、向かい合う浜崎達を見た。