いつどこで誰が何をした

ざわつくクラスメイト。

越田のえげつない死体の足元に浜崎が投げたスマホが転がっている。
僕は人差し指と親指でそのスマホを拾い上げた。


クリアのメッセージが来ている。
ばつ印は全部で…
「12個」

僕の呟きにざわめきが止まる。

「12って…ばつ印のことか」
枕崎が静かに言った。
振り向いて頷く。


「12?…昨日までは10個だったのに…」
「越田と中村の番号についてる」
片桐の疑問に答えると、再び沈黙が広がった。
「…そうか」

「美柑…返信しなかったの?」
「……」
まあそうだろうね。



「ひかるくん」

と、静寂を破り僕の名前を呼んだのは柿田。
整った顔を真っ直ぐこちらにむけている。
「なに?」
「なんで美柑は返信しなかったと思う?」
知るかよそんなの。

「知らないよ」
「…罪悪感はないの?」
罪悪感?
「どういう意味?」


柿田は鋭く僕を睨む。
「昨日、あなたと揉めたじゃない。それが原因かもしれないって思わないの?あなたと揉めてからの美柑は確実におかしかった。急に意気消沈して死人みたいに動かなくなって…あんなにあなたに対して怒ってたじゃない。美柑の死に対して何か思うことはないの?」
は?何言ってんの?

「…中村が死んだのは僕のせいだって言うの?」
「あなたがちゃんと美柑と話し合っていればこうはならなかったかもしれない。ひかるくんが無責任に美柑を突き放したから、あの子は心が折れたのよ」
言いがかりだよ。

「あなたが昨日、美柑に対して何を言ったのかは知らない…でもあなたは確実に美柑の心を折ったのよ!それは昨日のあの子を見ていればわかるわ!」

「謝りなさいよ美柑に!謝って!でなきゃあの子が可哀想よ!」


「死んだ人間にどうやって謝れっていうの。中村が死んだのは僕のせいじゃない。中村の判断だ。僕は関係ない」


柿田が目を見開く。
「…信じらんない…なんなのよあんた…気味悪い…人殺しよ…あんたが殺したのよ!!」
僕を指差して叫ぶ。

「柿田やめろ!ひかるを刺激するなって昨日話しただろ!」
「玲子ちゃんやめようっ昨日も言ったでしょ?関わらない方がいいよっ」
よしきと三谷が柿田の腕を掴んで抑える。

昨日?
…ああ。僕らが話し合いをしているのと同じように柿田達もグループを作って話し合ってたのか。


「…っ……そ、うね……ごめんなさい…取り乱したわ…。とにかく…私たちは今後一切あなたと関わりません。だからひかるくんも私達に関わるのはやめてちょうだい!」

はあ。
ここに来て仲間割れですか。

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