いつどこで誰が何をした
「ひかるの父親?」
枕崎が乾いた声を出す。
「本当…なんですか?」
久遠さんも白い顔をしている。
「これだけ似てればそうだろうね。僕もびっくりだよ」
癖毛も八重歯も三白眼も父親の遺伝だったのか。
苗字がたまたま一緒なだけとは到底思えないほど
僕はこの人に似ていた。
「びっくりってどういうこと?ひかるは知らなかったの?」
柳谷が不思議そうに僕を見る。
「うん。昨日初めて知った」
「父親なのに?」
んー…
「僕、家族の顔知らないんだ。会ったこともないし。ずっと1人で生きてきたから」
「え…?」
僕の言葉に驚くみんな。
祐樹と東坡は静かに目を伏せる。
2人は中学から一緒だから僕の家庭事情を少しだけ知っている。
「話すほどのことでもないんだけど…物心ついた時から母親も父親もいなくて、よく知らない親戚の人が面倒見てくれてたんだ。でも僕が1人で生活できるようになったら…まあ小学3年生くらいかな?その人も帰ってこなくなって、それからはずっと1人。変な話だけど、本当なんだ」
だから血のつながった家族には会ったことがないし、顔も名前も知らなかった。
「特に不便はなかったからあんまり人に話したこともなかったんだけど…まあだから父親がこの人だってことも、てか父親が生きてたってことすら昨日初めて知った。このメッセージでね」