いつどこで誰が何をした



学校からかなり離れた街の外れにある古いアパート。三階の一番奥、309号室。僕の家。

「ただいまー」
静まり返った家の中。
真っ暗な廊下の電気をつけた。

がらーんとした必要なもの以外何もない部屋。
造花でも置くか?あまりにもシンプルすぎる…と毎日思っているがめんどくさくて買ってこない。


冷蔵庫の中から適当に野菜と肉を出して適当に切り刻み適当に炒める。
朝炊いてパックに入れておいた冷え切ったご飯を電子レンジであっためる。
そのままパックのご飯の上に炒めた野菜どもをぶっかけて夜ご飯を済ます。
2日に一回は同じご飯。


「退屈だなぁ」

何が。
何もかもが。


特にすることもないのでテレビをつける。
夕方のこの時間はニュース番組だ。

『昨夜22時ごろ、青地山で男性の遺体が見つかりました。被害者は2ヶ月前行方不明になっていた加賀山秀行さん53歳。オンクセイン第二研究所の研究員であり、遺体は数ヶ月前のもので行方不明になった頃に殺害されていたのではないかと推測されています。容疑者は競馬場の管理人である角田蘭、38歳男性…』

へぇ。物騒だなぁ。


ぼおーっとテレビを見ていたらもう21時近くになっていた。
どれだけ暇でも忙しくても時間は全く同じように流れる。やっぱり退屈だ。

さっさと風呂を沸かそう。
お風呂って何気めんどいんだよね。
入っちゃえば楽なんだけど。入るまでがだるい。
そんなことにため息をつきながら干してあった洗濯物を畳んでいた時だった。



ピロン!




初期設定のままのRINEの通知音
こんな時間に誰だろう。

「祐樹かな」

スマホを開く。
と、見慣れない名前の通知が来ていた。

『8』

8?誰だ?間違えたやつか?
何気なくその通知をタップした。
立ち上がるRINE画面
定型分のように綺麗に連なる文字が見えた。


< 18 / 334 >

この作品をシェア

pagetop