いつどこで誰が何をした


「そろそろ今日のメッセージが来るね」
枕崎が時間を確認して言った。

「…梅原来ないね」
祐樹の小さな声。
「寝坊だよきっと」
花里が明るく言った。


……。
そう、だといいけど。


しんとする教室。
居た堪れなくなり自分の席に座る。

…ん?
座った瞬間、自分の机の引き出しの中に何か…白いものが見えた。

カサ
取り出してみる。
紙?
ルーズリーフが雑に折られている。

これは…?
その紙を開こうとした。


ピロン!




と、同時に通知音が響く。
咄嗟に紙を引き出しに戻し、僕はスマホを開いた。



ーー


〈2グループ〉
本日の内容。
実行してください。

『午前9時
美術室で
成川智が
壊した』


ーー



みんなの視線が成川に向く。
成川は画面を見て顔面蒼白になっている。
冷や汗をかき始める。

「成川落ち着け、大丈夫だ」
柳谷が浅く呼吸をする成川の背中をさする。
「う、うん…」
目が泳いでいる。
その目が震えながらゆっくりと僕を見る。
「ひかるくん…」
「大丈夫だから。ちゃんとクリアできる」
「う、ん」

成川の震える手を強く握ってやる。
じっとりと手汗を掻いた冷えた手。
やっぱり指名されるとこうなるよな…。


昨日の久遠さんの内容に比べるとかなり難しい。
またわかりづらい…
壊す…か。片っ端からモノを壊してみるか…
それしかないよな。

「時間指定がある。午前9時。今から1時間後だ。同じように時間が細かく指定されていたのは初日の野々村の時。あの時は確か12時1分に野々村が死んだ。つまり猶予は1分」
僕の言葉に呆然としている成川と浅く頷く柳谷。
「とりあえず美術室に行こう。すぐに取り掛かれるように」


「大丈夫だ成川!しゃんとしろ!」
「とにかく美術室にあるものを壊しまくれ!」
「絶対できるよ、大丈夫」
みんなが口々に励ましの言葉をかけながら美術室に向かう。

僕もその最後について行こうとして…足を止めた。
自分の席を振り向く。


…。


引き返して椅子を引き、引き出しの中に手を入れる。

昨日までこんな紙なかったはず。
一体何が…

四つにおられた紙を広げた。



「…っ」


……これ、は……


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