いつどこで誰が何をした


飛び降りた。

これは山野の時と同じだ。
屋上で飛び降りるのではなく、屋上から飛び降りるということ。
それはつまり…
「ひかる…」
「うーん…これは…生きようがないね」

屋上から飛び降りて無事でいられるわけがない。
…ということは…


「…僕は、今日で終わりだ」


今日ゲームオーバーになる。
大本の時と同じ。
内容の時点で足掻きようのない結果…。

…そう何度も奇跡は起こせない。
僕が今できることは…もうなにも…


「嫌だ!!」
え?
「嫌だよ!ひかるくん!」

そう叫んだのは花里だった。
今までに見たことないような危機迫った表情をしている。
あり得ないくらい目が泳いでいる。

「だめだ…絶対ダメ!なんとか…なんとかしないと…ひかるくんが死んだら…僕らは破滅に進む。ひかるくんは死んじゃダメなんだ!絶対に!」
「花里…」


「そうだ…ひかるがいなくなるのはまずい。犯人はひかるを特別に意識しているはずだ。ひかるは犯人の手がかりになる。それに…そんなこと関係なくても、お前に死なれるのは嫌だ」
枕崎が僕を見る。
綺麗な目だ。

「なんとか考えようぜ。まだ時間はある。絶対死なせない。絶対だ」
東坡が力強く言う。

「諦めるのは早い。足掻こう。最後まで」
山野が静かに言った。
その淡い目に吸い込まれそうになる。

「僕…なんでもするよ…ひかるくんが生きられるならなんでも!」
成川も拳を握っている。

「ひかる、今は余計なことは考えるな。ただ生きることだけを考えろ」
柳谷が無表情で言う。
しかしその目は確かに力を持っていた。


祐樹は…ただ茫然と僕を見ている。
この世の終わりのような顔をして、ただ顔面蒼白で、唇を震わせていた。

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