いつどこで誰が何をした

その時

バタバタバタ

と、廊下の向こうから慌ただしい足音が聞こえた。
そして
ガラ!と勢いよく扉が開く。
そこにいたのは、珍しく髪を乱した…

「久遠さん?」
「ひかるさん!」
「無事だったんだね、よかっ」
そこまで言いかけた僕に駆け寄り、力強く手を握る久遠さん。
「何他人の心配してるんですか!今はあなた自身の心配をすべきです!」


「メッセージ…見ました。ひかるさん、戦いましょう。絶対に、絶対の絶対の絶対に!生きましょう!」
いきなりやって来て何を言い出すんだと思いながらも、彼女の手から伝わる熱に少し心が安らぐ。
久遠さんの目は…やっぱり綺麗だ。


「遅れてすみません。兄のところに行っていました。ひかるさん、みなさん。一緒に来てくれませんか?」
珍しく威勢よく、久遠さんはそう続けた。

兄ってことは、強制思い込みプログラムの…

「ひかるさんが生き延びる選択肢はあります。このゲームを今日!終わらせることです!」
……え?

「今日?」
「思い込みプログラムをシャットダウンするんです。もしそれができればゲームは終わります。犯人の思い通りには行かなくなります」
「そんなことできるの?」
花里が不安そうに聞く。

「…わかりません。実は前からシャットダウンするために兄と2人で色々実験していたんです。ゲームを終わらせるためには犯人を見つける以外にこの方法しかありません。まだ不完全な状態だったので、他の方が指名された時には提案できませんでした。でも…このゲームのキーになるひかるさんの命がかかっているのなら…何もしないよりは、やってみるべきだと思うんです!」
そんなこと…


「行こうひかる」
そう言って僕の腕をグイグイと引っ張る…
「祐樹…」
「行こう…すぐ行こう…早く、っほら早く!」

珍しく声を荒げ、僕を無理やり連れ出そうとする。
何かに怒っているのか、ぎりっと歯を食いしばり息を荒くしている。
「克馬、落ち着け」
東坡が止めようとするが祐樹にはまるで聞こえていない。

「時間がないんだ!早く!」
…。
「分かった、分かったよ祐樹。行こう」
祐樹の肩をポンポンと叩く。


……まだ、死にたくはないな。

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