いつどこで誰が何をした
冷たい風の吹く屋上。
むかつくほど綺麗な夕日がこちらを見ている。
現在16時。すでに夕刻のうちだ。
夜になる前にここから飛び降りなければ……僕は死ぬ。
飛び降りても死ぬけど。
正直…犯人が僕を殺しにくるとは思わなかった。
成川の言う通り、確かに犯人は僕に積極的に関わってきた。
まさかこんな中途半端なタイミングで殺しに来るなんて…最悪だよ。
せめてゲームを見届けたかった。
屋上の端、危険な段差に乗り上げる。
僕は主人公ではなかったみたいだ。みんな。
さあ、どうやって死のうか。
飛び降りる?それとも時間切れになるのを待つ?
いっそ犯人の名前でも叫びながら死んでやりたいところだ。
「あー…やっぱちょっと怖いな」
「当たり前だろ」
…え?
僕の独り言に応えた声があった。
背後から聞こえた…聞き慣れた声。
ゆっくり振り向くと、そこにあったのは親友の姿だった。
「祐樹?なんでここに?」
「俺が教室で大人しく待ってると思ったか?俺はお前の部下じゃないから言うこと聞かないもんね」
「祐樹…僕は自分が死ぬところを誰にも見られたくなかったんだけど」
「知るかそんなの。絶対1人になんてしてやんねぇ。最後まで一緒にいてやる」
祐樹は端に立つ僕に手を差し伸べた。
「こっちこいよ。そこ危ない」
…いやこれから死ぬんだから危ないもクソもないけどね。
そう思いつつ、祐樹の手を掴んだ。
「僕が死ぬとこ見たって、祐樹が辛いだけだろ?」
「見ようが見まいが辛いのは辛い」
「…そっか」
「素直に感謝してくれても良いんだぜ?1人は寂しかったろ」
「はっ誰が寂しいなんて言った?余計なお世話だね」
「はは、意地っ張り」
屋上で2人して胡座をかいて座る。
カラスの鳴き声が時間の経過を伝える。