いつどこで誰が何をした
「…久遠さん」
しばらくして
僕は久遠さんの両肩を掴み、真正面から顔を見る。
「遺書の話に出て来た、犯人に繋がってる研究員の名前…分かる?」
「えっと……調べれば…分かると思います」
「…調べてくれる?」
「はい」
「きっとその名前を見れば、恨むべき相手が誰か…分かると思うよ」
「……え?」
もう隠す必要はない。
明日全てが終わる。
「僕、昨日見ちゃったんだ。オンクセイン第二研究所に行った時、入り口の近くに出席ボードみたいなやつがあったよね。多分担当研究員用の」
「…ありますね」
「その中に一つ…聞いたことのある名字があってさ」
「………え」
「僕の予想が正しければ、綾人さんからMo153を受け取り、犯人に渡した研究員はそいつだ。
久遠さんも…すぐ答えに辿り着くよ」
偶然かとも思った。そんな珍しい名字というわけでもなかったから。
でも…繋がってしまったんだよ。
納得のいく名前だった。犯人がどうやってMo153の情報を手に入れたのか…それで全て分かった。
もちろんすぐに繋がったのは…僕が昨日より前の段階で犯人が分かっていたからだけど。
犯人は決して優秀な奴ではないよ。
ゲームが始まってからこれまでの出来事の中に、答えはあった。
「…分かりました」
「そして明日、いつも通りみんなが登校しても…犯人だって騒いだらダメだよ。あくまでいつも通りにそいつと接するんだ」
僕がこれまでそうしていたように。
「………分かりました」
「よし。じゃあまた明日」
「ひかるさん!」
「ん?」
「………あなたは…いつから犯人を知っていたんですか」
「………最初からだよ」