いつどこで誰が何をした
それをただ、ただ立って見ていた僕に成川が言う。
「…助けないんだ。ひかるくん」
「言ってただろ?僕は彼女の気持ちを利用したんだ。こうなることを分かってた」
「……君は…本当に人間なの?」
「お前に言われたくないよ。成川」
静かな教室。
渡辺の破裂した肉片。
柿田の割った窓ガラスの破片。
うつ伏せに倒れる柳谷。
その隣で胸から血を流す山野。
ドアの近くに傷だらけの東坡。
教卓の横で眠る久遠さん。
今、この学校にいるのは、僕と成川だけ。
「さあどうぞ成川。やりたいことやりなよ」
「……そう…だね」
成川は起動装置を取り出した。
その手が僅かに震えている。
「どうしたの」
「……さあ…僕にもわからない…。でも…なぜか今、すごく怖いんだ。目の前にいる…君が」
「こっちのセリフだよ。お前は指一本で…俺を殺せるんだぞ」
「……おれ?」
ピロン!
ーー
本日の内容。
実行してください。
『今
教室で
新田ひかるが
死んだ』
ーー
「…さあひかるくん。もう身代わり制度を使ってくれる人はいないよ。無様に命乞いしてもいいよ。人間らしく…人間らしくね」
「……」
「……ほら、なんで黙ってるんだよ。死ぬんだよ?僕に負けるんだよ?飛びかかっておいでよ」
「……」
「っ……ほ、ほら。起動装置はここだよ?奪わないの?」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」