いつどこで誰が何をした
「……ねぇ、ひかるくん…。君は…いつから僕が犯人だって分かってたの?」
「ん?さっき言ったでしょ?成川が失言した日だよ」
「……違うだろ」
成川のこめかみを変な汗が伝った。
「……本当は、野々村が死んだ日から…分かってたんじゃないの」
「なんでそう思うの」
「…質問に質問で返さないでよ」
成川が無理やり口角を上げた。
「……あの日、野々村が死んだ瞬間…みんなは阿鼻叫喚だった。目を見開いて硬直する者…目を開けられずに瞑る者、野々村を凝視する者…。
僕は犯人だからこうなることを知っていた。だから驚かなかった。みんなの恐怖に染まる表情を見ていた。でも…クラスの中にもう1人…野々村ではなく、恐怖に慄くクラスメイトを見ている人がいた」
……。
「それが君だよ、ひかるくん。あの時、君と僕は…目が合ったよね」
「……」
「合うはずがないのに…君はちゃんと僕を見ていた。薄ら笑いを浮かべて、クラスメイトを一人一人物色しながら…その目線は、僕まで辿り着いた」
「……」
「……ゾッとした。心の底から震え上がったよ。なんでそんなことができるんだろうって…。でもその後の君は『普通』だった。だから気のせいだと思うことにした。でも……あの時目が合った瞬間の恐怖を…毎日夢に見るんだ」
成川の瞳が揺れる。
僕を下から上まで見る。
「……ひかるくん。君は最初から、僕が犯人だと分かっていたんだろう」
「……」
「その上で、あんな風にみんなを導く主人公になっていた。そうすることで…このゲームを心の底から楽しんでいた。成りすましていたんだろ。犯人を捕まえようとする主人公に。日常を取り戻すために闘う物語のキャラクターに」
……。
「何を言ってるのか、よくわからないな。成川」
「……ひかるくん…」