いつどこで誰が何をした


先に先生が入って行く。
ガヤガヤと騒がしいクラスが落ち着く。


…転校か。

確か…僕が事故に遭う前日、隣の席に転入生が来てた。あんまり覚えてないけど初日から派手に転けてたなぁ。
僕は気をつけよう。


「入って来ていいぞー」
しばらくして先生の声が聞こえた。

よし…行こう!
緊張でバクバクしている心臓を落ち着かせ、教室の扉を潜った。



見慣れない顔。知らない人。
僕のことも、事件のことも、何も知らない無関係の人達。

僕の…新しいクラスメイト。


「今日からこのクラスの仲間になる、瀬尾和彦くんだ」
「瀬尾和彦です。よろしくお願いします」


僕は瀬尾和彦。
かつての出席番号は13番。
高校生大量虐殺事件の生き残り。
普通の…高校生だ。



「みんな仲良くするように!瀬尾は…あの席に座ってくれ」
先生が指差した席は窓際一番前…の隣だった。

かつての僕の席の一個前。
確かあそこは…そうだ、学級委員の片桐くんが座っていたんだ。

…どうしても前のクラスの面影を追いかけてしまう自分を戒めるよう、軽く頭を振った。

< 329 / 334 >

この作品をシェア

pagetop