いつどこで誰が何をした


「ひかる、ちょっといいか」

「ん、どしたの?」
同じチームの柳谷が隣に現れた。

柳谷は運動神経がいい。立派な帰宅部だけどね。
ごく稀にいる帰宅部なのにスポーツできるやつ、それ柳谷。


「唐突に質問なんだけど」
「ん?」
「久遠愛菜ってどんなやつ?」


柳谷まで?
珍しいな女の子に興味示すなんて。

「あ、言っとくけど、そういう興味はないから」
あらま。
心を読まれてしまった。
そういう興味っていうのは恋愛感情のことかな。


「ただ…他の奴らはあんまり気にしてない、あのRINEのことで」
ああ…
それは僕も気になってる。
でもなんで久遠さん?
「あのRINEの何が気になるの?」
柳谷は一瞬目だけで周りを見渡してから口を開く。

「あれのシステムすごい複雑なんだよ。メッセージを送信した後にRINEの友達欄を確認しても『8』なんてトークルームは存在してない。しかも日付を超えるとトーク履歴が消えてる」
え、そうなの?
確認してなかったけど消えてたの?
何それ怖〜

「向こうから連絡が来た時にしかトークルームは見れないんだ。で、ご丁寧に毎回初期のトークルームにリセットされてる」
えぇ…知らなかった。
何も考えずに送ってた。
得体の知れない連絡先なんだからもっと調べるべきだった。
さすが柳谷。さすやな。


「さらにメッセージが表示されてる時、スマホは完全に固まってて他の操作ができないようになってる。あんなん完全にウイルスの一種だ。
でもスマホの検査しても異常なし。全くの無傷。おかしいだろ?
あんな技術、そこらの奴にできるもんじゃない。
あのレベルのウイルスを作り、俺らのクラス全員に送り込むなんて、莫大な金がかかるはずだ」

なるほど、金銭的な問題。
久遠財閥なら…ってことか。
だから久遠さんね。

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