いつどこで誰が何をした
結局東坡は二限目からずっと教室にいた。
最初は硬かった空気も次第に慣れ和らいでいき、
四限を迎える頃には杉山と檜山は通常運転。
四限の後半、正午を通過する。
今日は数学、担任の授業だ。
先生が入ってくると早速檜山達が茶化し始めた。
「せんせぇー!12時に野々村くんがぁ逆立ちしに保健室行ってもいいですかぁ?」
「おい檜山ー」
クラスメイトが笑っている。
「はぁ?何を言っているんだ馬鹿野郎。ほら授業やるぞ」
もちろんそんなこと聞いてもらえるはずもなく授業は始まった。
四限目の数学ほどお腹の空く授業はない…
って、多分どの教科でもお昼前の授業では同じこと思ってるけど。
お腹空いたぁぁ。
購買行かなきゃ…今日は買えるかな。
超絶人気の二度揚げカレーパン…
そんなどうでもいいことを考えながら、進んでいく板書を写す。
11時55分
やっと授業も後半に入り、12時に近づいてくると案の定おちゃらけ組が騒ぎ出した。
「せんせぇー!」
檜山がニタニタしながら手を挙げる。
「なんだ檜山」
「野々村くんが保健室に行きたいって言ってまーす」
「おいおい大丈夫か野々村ぁ!」
杉山も一緒になって騒ぎ出す。
アホだなぁ。
「おいって」
野々村が笑う。
「いつまで馬鹿げたことを言ってるんだ。ほら野々村、この問題解いてみろ」
「はぁ?俺スッゲェ飛び火なんだけど」
クラスのあちこちで笑いが起きた。
11時57分
「ほら野々村前に来い」
「ったく、お前ら覚えてろよ」
野々村が渋々席を立つ。
「はあ?これどうやってやるんだよ」
「さっき説明したばっかだぞ」
「頑張れ野々村」
そんな呆れたやりとりを僕は見ていた。
もうすぐ12時。
11時58分
……
11時59分
腕時計を見る僕の脳内を、美術室で見た多田のスマホ画面がよぎる。
ばつ印のついた『13』『14』
GAME OVERの文字。
学校に来ない、13番の瀬尾と14番の多田。
妙な予感。
そう思った頃にはもう時計の針は12時を差していた。
自分の腕時計がカチカチとカウントダウンを始める。
「野々村〜」
「え、マジでわかんないっす先生。こう?」
「ちーがーう。ちゃんと話を聞いておけ」
「はぁい」
………
そして
カチッ
12時のところで重なっていた時計の二つの針がずれた。
12時1分