いつどこで誰が何をした
ピロン!
っ!
通知音。
思わず体を硬くする。
でも音がしたのは僕のスマホじゃない。
さっきと同じ音量。
おそらくさっきと、同じ…人。
教室前方
床に無様に倒れこむ野々村のポケットだ。
「…8」
もちろんあんな血みどろの中に行きたくはない。
だけど…
もし、野々村の死が…この音に関係あるのなら
12時1分に死んだ野々村が、この音に関係あるのなら
今野々村のポケットを鳴らしたのは…
『いつどこで誰が何をした』
関係あるんだろ?
このゲームが。音が。
今起こったことに。
関係があるんだろ?
これはいわゆる『普通』のゲームじゃないの?
『普通』のゲームとは違うの?
その答えがあそこにある。
見なきゃいけない気がする。
美術室と重なる。
多田のスマホが浮かぶ。
僕は決してゆるくない歩度で野々村に近づいた。
「…きも」
赤く染まったズボンからスマホを取り出せば
勝手に画面がつく。
僕は自分の手から滴る他人の血をピッピと払ってスマホを見た。