いつどこで誰が何をした
ピロン!
携帯の鳴き声に思わず体を硬くする、が、
この時間ならおそらく違う。
恐る恐るスマホを開くと見慣れない名前が表示されていた。
『梅原七菜香』
梅原って…確か多田と仲のいい…
僕RINEなんて持ってたっけ?
開くと丁寧な長文があった。
『いきなりごめんなさい。どうしても伝えたくて時川さんに連絡先を聞きました。
今日新田くんが言ってた多田凛子のことなんだけど、私小中一緒で彼女の家を知っていたからさっき帰りに行ってみたんです。
そしたら凛子の両親がずっと音沙汰ないって近所の人が言ってました。仕事にも行かれてないし誰も家から出てこないようで。
もしかしたら新田くんの言ってた通りなのかもしれないって思って、何度かインターホンを押してみました』
へぇ…思ったより勇気あるな…この人。
やっぱり友達となるとこうなるのかな。
文章はそこで途絶えていた。
うん…
やっぱり返信はしないといけないみたい。
♫〜
なんて考えていたら着信音が鳴る。
梅原からだ。
『もしもし?』
『…もしもし』
声は上ずって震えていた。
『どうした?』
『…インターホンを…押し続けたんだけど…誰も出てこなくて…でも窓から…カーテンが揺れて』
息が荒い。
呼吸が下手くそになってる。
『窓から…凛子のお母さんがこっちを見て…たのは分かったんだけど…お母さんの顔が…すごく、怖くて…それでっ、多分…た、ぶん』
あー…
『り、凛子はっ…』
『それ以上言わなくていいよ』
『…』
『辛いのに確認しようとしてくれてありがとう』
『う…ん』
『とにかく梅原も絶対返信して』
『…わかった』
『じゃあ。また明日』
やっぱりそうか。
僕の予想通りだった。
返信しないと死ぬ。
その仕組みがどうなってるかは僕の頭じゃ理解できない。
でも主犯は必ず存在する。
仕組みなんかわからなくても犯人なら探せるかもしれない。
とりあえず明日はどんな内容になるか…
簡単にクリアできるものか…
それとも…
返信内容は慎重に選ぼう。