いつどこで誰が何をした


1年3組
北校舎2階、日当たりの悪い僕らの教室。


ガラリとドアを開けると、既にクラスメイトの大半の顔が揃っていた。
普段はそんなことはないのだが、今日は転入生が来るからみんなちょっと気合が入ってるのだろう。
単純だなぁ。

「ああ、担任が来るのが待ち遠しいとか転校生効果やばいね」
「そんなはしゃいでるのは裕樹だけだよ」

とは言えど、
いつもよりやっぱりそわそわしている気がするクラスメート達。
転校生一人でここまで騒ぐかな。
なんて言ってる僕ももちろん気になるわけではありますが…


「あ」
祐樹の視線がふと何かに移る。
僕らの横を静かに通り過ぎた女子生徒が1人。

「おはよう山野」
「おはよう」

僕の挨拶にクールに返す彼女、山野美波。
人より色素が薄く白い肌と肩まで伸びたストレートの茶色い髪が特徴的な、このクラスで1、2を争う美人さん。
見た目通りクールでちょっと無愛想な女の子。

「お、おはよう」
祐樹は美人への耐性がないので山野と喋る時はいつも緊張している。
単純で面白い。


そんな裕樹と僕の視線を遮った影。
「あ、柳谷おはよう」
「おー」

僕の挨拶に軽く返す彼、柳谷大斗。
無口で山野よりも無愛想だけど、オシャレなゆるい癖毛とちょっと独特な雰囲気が女子からはかなりの人気を誇る男子。



僕の席は窓側の一番前。
結構お気に入りの席。
ひとつ後ろは入学当初から謎の空席で、その後ろに柳谷、山野と続いている。
で、山野の後ろはまた空席。


東坡純
窓際最後列の空席の主。

学校にはちょくちょく来るけどほとんどサボってる。いわゆる不良と呼ばれる類で日々喧嘩に没頭しているらしい。
実は僕は彼とは中学からの付き合いで普通に話すこともあるけれど、最近の彼の経緯について詳しいことは知らない。



僕は人間観察が好きだ。
この端っこの席だと教室全体を見渡せる。
だからお気に入り。

人間観察をしていると、人にはそれぞれの人生がありその中で当たり前のように生活していて、自分との違いを見つけるのが結構楽しい。

それにその人の特徴や好き嫌いまでもが案外わかったりする。
だから僕は割と人と話すのが得意し、好かれやすいタイプ…だと自負している。
実際は知らんけど。

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