いつどこで誰が何をした
「ひかる!ひかる大丈夫か!」
「ひかるさん!」
「ひかるくん!」
祐樹が涙目で僕の首を確認している。
久遠さんも慌てて駆け寄る。
で、なぜかわからないけどそこに花里が混じっていて心底心配そうな顔で僕を見つめている。
「ゲホッ…カハッ…だ、大丈夫だよ」
祐樹の頭をポンポンと叩く。
「大本も本気で僕を殺そうとなんてしてなかったから…ね?」
大本ににっこりと笑いかける。
そりゃ無理があるだろうと言われるくらい、僕の首には大本の手形がはっきりついているけど…
「………ぁぁ」
大本が力のない声で相変わらず僕を凝視しながら同意の鳴き声を呟く。
「それに…ん…大本の気持ちもよくわかるよ。こんな意味不明なゲームで死ぬかもしれない状況にいるんじゃ、狂ったって仕方がないよ。
僕はもともとアホヅラだから笑ってるって勘違いしちゃっただけだよ。みんな一旦落ち着こう?」
襟元を直しながらみんなを見回す。
祐樹が僕の手をしかと握っている。
久遠さんは水で濡らしてきたハンカチで首の痣を冷やしてくれた。
大本が沈着して床に座り込んでいる。
僕が見るととサッと目を逸らされた。
大本がおとなしくなったことで緊張の糸が張り巡らされていた教室は少し緩和した。
ただ濁流の如く、冷や汗を流している大本を残して。
それはこの事実に対する絶望か、はたまた別の何かがそうさせているのか、それは本人にしかわからない。