いつどこで誰が何をした


騒ぎが治ったのと同時に測ったかのように先生が入ってきた。
僕たちの訴えはどうなったんだろう。

「…校長に話してきた。自宅待機という事実に変わりはない」
だからそれだと僕らがまずいんだってば。
「先生!」
「だからそれじゃ俺らがっ」


「だが」
先生が教卓に手をつく。
「自宅待機はあくまで提示であって、強制ではない。ここは開け放っておく」
え?

「自宅待機は他クラス他学年も同様だ。この学校内で死人が出ているという事実に動揺しているのは、このクラスだけではない。学校全体がしばらく休学になる。

しかし…お前たちの中でしかわからない何かが起こっているのだとしたら…俺たち部外者がとやかく言える問題ではない。警察は我々教師でなんとかする。お前たちは…これ以上犠牲者を出さないよう…やるべきことをやってくれ」
先生…


先生は唯一、このゲームに関係ない人間の中で野々村の奇怪な死を目のあたりにしている。
だから僕たちの訴えを理解してくれたんだ。

そして、このクラスで起こっていることが異常であること、僕たちにしかどうにもできないことを察している。


これを警察や世間にどう話したって信じてはもらえないだろう。
保護されたところで死を免れるわけではない。

でも事実は事実なんだ。
僕たちには抗うことができない。


「ありがとうございます。先生」
片桐が立ち上がってお礼を言った。
誰も続かなかったが、とやかく言うものもいなかった。


「…もし、我々に何かできることがあるのだったら言って欲しい」
先生が腐ったような顔でそう言った。


何かできることか…そうだな。
「先生」

僕が立ち上がる。
みんなの視線が刺さる。


「今夜、校長室をお借りできますか?」




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