初めての恋はあなたとしたい
美味しい食事にお酒、楽しい会話に私は開放感に浸っていた。
「仕事はどう?」
「うん、まだまだだけど楽しい。先輩について教わることが多いけど、同期とも仲良くなれたし、励まし合ってるよ」
「そうか。良かった」
ふたりはまだ私の働く姿を見ていないので心配なようで色々と質問してくる。
「美花ちゃんが就職するって聞いてたら本社勤務にしたのに」
たっくんはそんなことを呟く。
「そんなのダメだよ。知り合いだからと優先するなんて。私は一社員なんだから副社長は人事に口を出してはいけません!」
するとふたりが笑い出した。
「なんだか一丁前なこと言う様になったな」
「もう! お兄ちゃんたちがバカなこと言うからでしょ」
私はグラスに残ったワインを一口でゴクっと飲み干した。
「そうか。確かにお酒も強くなったみたいだしな」
妙なところで私が大人になったと自覚した様だ。
「男のいるところでそんなに飲んだらダメだからな」
「そんな人いないもん。飲んでも夏木くんくらいだし」
「夏木?」
顔を見合わせて、誰だ?と考えている様だ。
「夏木くんはさっき話した同期の子。うちの部署に一緒に配属されて、時々飲みに行ったりしてるの」
「そいつはどんな奴なんだ?」
お兄ちゃんが夏木くんをそいつ呼ばわりしてる。失礼だわ。
「夏木くんはいい人だよ。私が困ってると助けてくれるし、励ましてくれるの。お互い仕事の愚痴を言ったりしてストレス発散もしてるの! 夏木くんはいつも優しくて、お互い時間があると電話とかもしちゃうくらいの仲良しなの」
「え? それはどういうこと?」
たっくんは首をかしげている。
「そのまんまだよ。いい人」
「美花はそいつが好きなの?」
「え? お兄ちゃん、何言ってるの? 私の話聞いてた?」
お兄ちゃんは少し前のめりになってきた。その圧から逃げる様に私は背中を背もたれにぎゅっと押し付けた。
「飲みに行くならわかるけど、男女間でプライベートで電話したりとか普通しないんじゃない?」
「そんなことないでしょ。普通だよ」
お兄ちゃん達は顔を見合わせ、何故かため息をつかれた。
「そう言えば食堂は使ってる?」
お兄ちゃんはまだ何か言い出さそうだったけど、たっくんが話を変えてくれて良かった。
「うん! すごく美味しいね。夏の沖縄フェアはハマっちゃった。その話をしたら沖縄のお土産買ってきてくれてさ」
「誰が?」
「パイロットの曽根さん。最近よく会うんだよね。沖縄フェアが気に入ってたみたい」
はぁ……。
またお兄ちゃんがため息吐いていたが知らんぷりした。
「美花ちゃんは他にも知り合い出来た?」
「うん。整備の村田くんとか原野くん。あとは管制塔で仕事してるって言ってた松本さん。あとは……もちろん同じ部署の人にも良くしてもらってるよ」
後付けのようになったが、本当にみんなによくしてもらっていると思う。厳しい時もあるけど、それは私のためだと分かっている。だから素直に反省している。
「おい、美花。男ばかりじゃないか」
「え? そう? たまたま隣の席になったからだよ。でもいろんな人の話が聞けて楽しいんだよね」
なぜか二人の口は開いたまま。
ただご飯を隣で食べたくらいで大袈裟なんだから。何を心配してるんだか……。
「確か週明けに空港でVIPのお出迎えに呼ばれてるんだ。俺、こっそり見てくるわ」
小さな声でたっくんがお兄ちゃんと話していたのに気が付かなかった。
「仕事はどう?」
「うん、まだまだだけど楽しい。先輩について教わることが多いけど、同期とも仲良くなれたし、励まし合ってるよ」
「そうか。良かった」
ふたりはまだ私の働く姿を見ていないので心配なようで色々と質問してくる。
「美花ちゃんが就職するって聞いてたら本社勤務にしたのに」
たっくんはそんなことを呟く。
「そんなのダメだよ。知り合いだからと優先するなんて。私は一社員なんだから副社長は人事に口を出してはいけません!」
するとふたりが笑い出した。
「なんだか一丁前なこと言う様になったな」
「もう! お兄ちゃんたちがバカなこと言うからでしょ」
私はグラスに残ったワインを一口でゴクっと飲み干した。
「そうか。確かにお酒も強くなったみたいだしな」
妙なところで私が大人になったと自覚した様だ。
「男のいるところでそんなに飲んだらダメだからな」
「そんな人いないもん。飲んでも夏木くんくらいだし」
「夏木?」
顔を見合わせて、誰だ?と考えている様だ。
「夏木くんはさっき話した同期の子。うちの部署に一緒に配属されて、時々飲みに行ったりしてるの」
「そいつはどんな奴なんだ?」
お兄ちゃんが夏木くんをそいつ呼ばわりしてる。失礼だわ。
「夏木くんはいい人だよ。私が困ってると助けてくれるし、励ましてくれるの。お互い仕事の愚痴を言ったりしてストレス発散もしてるの! 夏木くんはいつも優しくて、お互い時間があると電話とかもしちゃうくらいの仲良しなの」
「え? それはどういうこと?」
たっくんは首をかしげている。
「そのまんまだよ。いい人」
「美花はそいつが好きなの?」
「え? お兄ちゃん、何言ってるの? 私の話聞いてた?」
お兄ちゃんは少し前のめりになってきた。その圧から逃げる様に私は背中を背もたれにぎゅっと押し付けた。
「飲みに行くならわかるけど、男女間でプライベートで電話したりとか普通しないんじゃない?」
「そんなことないでしょ。普通だよ」
お兄ちゃん達は顔を見合わせ、何故かため息をつかれた。
「そう言えば食堂は使ってる?」
お兄ちゃんはまだ何か言い出さそうだったけど、たっくんが話を変えてくれて良かった。
「うん! すごく美味しいね。夏の沖縄フェアはハマっちゃった。その話をしたら沖縄のお土産買ってきてくれてさ」
「誰が?」
「パイロットの曽根さん。最近よく会うんだよね。沖縄フェアが気に入ってたみたい」
はぁ……。
またお兄ちゃんがため息吐いていたが知らんぷりした。
「美花ちゃんは他にも知り合い出来た?」
「うん。整備の村田くんとか原野くん。あとは管制塔で仕事してるって言ってた松本さん。あとは……もちろん同じ部署の人にも良くしてもらってるよ」
後付けのようになったが、本当にみんなによくしてもらっていると思う。厳しい時もあるけど、それは私のためだと分かっている。だから素直に反省している。
「おい、美花。男ばかりじゃないか」
「え? そう? たまたま隣の席になったからだよ。でもいろんな人の話が聞けて楽しいんだよね」
なぜか二人の口は開いたまま。
ただご飯を隣で食べたくらいで大袈裟なんだから。何を心配してるんだか……。
「確か週明けに空港でVIPのお出迎えに呼ばれてるんだ。俺、こっそり見てくるわ」
小さな声でたっくんがお兄ちゃんと話していたのに気が付かなかった。