初めての恋はあなたとしたい
拓巳くんは家に帰るとすぐにメッセージをくれた。

【今帰った】

【お疲れ様。疲れているのに送ってくれてありがとう】

返信するとすぐに既読が付いた。

【さっきまで美花がこの部屋にいたんだと思うと何だか寂しく感じるよ】

拓巳くんからの返信に胸がキュンとする。私だってさっきまですぐそばに感じていた温もりがなくなってもう寂しい。でも拓巳くんも同じように感じてるって思ってくれているんだと思うと何だか胸の奥が温かくなる。
立て続けに彼からのメッセージが続いた。

【土曜日が待ち遠しいよ。軽井沢のあたりまでドライブに行かないか? 美花の好きな美術館もあるし、美味しいレストランがあるんだ】

さっき話してたデートのお誘いだ!
ドキドキして思わずスマホを手から落としてしまった。慌てて拾い上げるとさらに追加でメッセージが届いていた。

【昔から美花を連れていきたいと思っていたんだ。きっと気にいるはずだ。楽しみにしていて】

初めてのふたりきりのお出かけだ。
彼からのメッセージを読むだけでもこんなにドキドキしているのに当日はどうなるのだろう。

【楽しみにしてるね】

やっと返した返事は何だかそっけないものになってしまった。それもこれも私の胸の中はパンクしそうで、どうしたらいいのか分からなかったから。
今まで誰ともお付き合いしたことはなく、そういったことに疎かったのでうまく返信ができないことがもどかしい。楽しみで仕方ないのに……。
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