色彩わるつ。




 いじめていたはずのキホしか見えなくなって、自分にとって守ってあげたい存在になるとは。

「中学で優里亜と付き合ったのも、キホの気を引きたいからだった。最低だと思う」

「……優里亜ちゃんは、そのこと」

「昨日、やっと話して謝った。そうでもして、キホに振り向いてほしかった。ごめん」

 手を繋いだまま、両者景色を見下ろす。

 キホは今、どんな表情をしているのだろう。



< 572 / 610 >

この作品をシェア

pagetop