色彩わるつ。




「飛び上がりそう」

「……私も」

「キホと付き合えるとか……奇跡だろ」

 なん度挫けそうになっても、諦めきれずに、目で追ってばかりで。

 触れることなんて無理、素直に話せないことも多かった。

 でも強がって、そっぽ向いても、内心じゃあキホのことばっか。

「俺、ベタベタしたらごめん」

「……程々に」

「嬉しくて、どうにかなりそう。軽くパニック」

 こんなになにかで心が満たされたのは初めての経験で、俺はキホを見てようやくにっこり笑うことができた。




< 575 / 610 >

この作品をシェア

pagetop