色彩わるつ。






 昇降口で靴を履いて校門を出ると、弓道場の外で優里亜ちゃんの彼氏と、伍一が話をしていた。

 あいかわらず、伍一は道着が似合っていて、キホちゃんもカッコ良いと思ってんだろうな。

「千広君」

「あぁ、先輩」

「今日夜、電話してもいい?」

「大丈夫ですけど」

 クールでデレデレしない彼氏に、優里亜ちゃんは微笑んでいる。

 せめて笑うくらい、俺にもしてほしかったな。

 これこそが、優里亜ちゃんの特別なのか。




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