私のお兄ちゃん season1
翌日、引っ越しトラックに荷物を詰め、玲蘭たちは朝比奈家へ。


朝比奈家は一軒家で、赤い屋根の大きなおうちだった。


志穂は目を輝かせた。



「可愛い!広い!最高じゃないですか!」

「本当、志穂、ゲンキンなんだから。」



玲蘭は荷物を運ぶ。


すると、玄関から伊織が出てきた。



「うぃっす!玲蘭、志穂。」


「お兄ちゃん。」


「運ぶよ。これ、玲蘭の部屋でいい?」



玲蘭、と呼ばれることに抵抗があるのか、玲蘭は内心ドキドキした。
自分の気持ちを唾と一緒に飲み込んで返事をした。


「うん、ありがとう!」


玲蘭ももう一つ箱を手に取り、後をついていく。


「はい。ここが玲蘭の部屋。」


7帖以上はありそうな洋室だった。
南向きのベランダにつながる窓もある。


いままで5帖の部屋に二段ベットを置いて2人で勉強机を共有していたのに、急に7帖以上の部屋になったから、逆に置くものがなくて、スカスカした部屋になりそうな気がした。


「あ、志穂はそっちなー。」


志穂の部屋からはしゃぐ声が聞こえてくる。


「家、広いね。」


「そうだな。広すぎて今までずっと寂しかったから家族が増えて嬉しいよ。今日からよろしくな。」



伊織はまた握手を求めてきた。


玲蘭も手を差し出すと、ぎゅっと伊織の温かい体温が伝わってきた。


玲蘭が微笑むと、伊織も微笑む。


そのあと、5人揃って、初めてご飯を食べようと言うことになるが、お台所がまだ片付けが終わっていないため、宅配ピザをとることになった。

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