私のお兄ちゃん season1
玲蘭がノックをすると、伊織が出てきた。
玲蘭だとわかると伊織は、ドアを人が入れる分あけた。
「入れよ。」
「ありがと。」
伊織の部屋は音楽関係のもので溢れていた。
玲蘭は興味深く、いろいろ見ていた。
「すごいね。これは何?」
「それは、ベース。」
「ベース?」
「バンドやってるんだ。俺と楓、洋一とさりなで。ボーカルがさりな。楓はギター、洋一はドラム。」
「そっか。それでいつも、一緒にいるんだね。」
「さりな以外は幼なじみで前からつるんでいたけどね。」
「そうなんだ。バンドだなんて、素敵だね。」
「さりなの声、綺麗なんだよ。」
玲蘭はちょっと、寂しかった。
まだ好きな気持ちがあるからか、嫉妬した。
「で?なんか、話があるんじゃないの?」
急に話を切り替えて話す伊織。
玲蘭もハッと思い出す。
「山飼先生と何があったのか、知りたくて。
一年生の時は、朝比奈くん、真面目にバスケ部も頑張っていたし、山飼先生も朝比奈くんがバスケ部で活躍してたこと、誇りに思ってたみたいだし、どうして、急に歪み合うことになっちゃったのかなって。」
伊織は暫く黙った。
玲蘭は、初日から、聞いてはいけないことを聞いてしまったかもと、萎縮する。
「言いたくなかったら、いいの。ごめん。」
「玲蘭だって、知ってるだろ。俺が、バスケ部の部室で、タバコ吸った事件。」
「うん。」
「あれ、濡れ衣なんだ。」
「え!」
「俺が入ったことで、レギュラー補欠になりそうな先輩が逆恨みして、俺に押し付けてきたんだ。
いや、最初から多分それが狙いだったと思う。
今の部長の林田とかも、先輩に脅されて、俺が吸っていたって証言しやがって。
山飼も俺をすぐにクズ呼ばわりしやがった。」
「酷い.....。」
「実際、今のバスケ部の連中も羨ましかったんだろうな。山飼に贔屓されてた俺が妬ましかった気持ちがあるの、わかる。」
伊織は哀しい顔で笑った。
「山飼は俺にそれから顔を見るたびにクズクズ言いやがってさ。
生徒の本質が見えてない奴が何言ってんだよ、って思わね?」
「山飼先生はたしかに、生徒に対する態度が気になるよ。私も。」
「玲蘭だけだよ...。そんな俺にも、ちゃんと挨拶してくれてたの。俺は、玲蘭に救われてたよ。
親父も一方的に山飼の言うこと信じて、俺のこと、信じてくれなかったから。」
伊織の目は潤んでいる様に見えた。
「けど、卒業した先輩たちとしょっちゅう街ですれ違って因縁ふっかけられて喧嘩してきたのはマジだし、タバコも気持ちが荒れに荒れまくって結局吸っちゃってるしな。
こんなんが兄貴になって、玲蘭に迷惑かけたくない。だからさっき、皆んなには黙っていようって言ったんだ。」
「迷惑なんかじゃないけど。わかった。暫くは、内緒にしておこうよ。受験が近くなれば、みんな他人のことなんてどうでも良くなるよ。」
「そう、だな。」
「話てくれてありがと。」
2人の話を、廊下で慎也は聞いていた。
そして、一階へ静かに降りていった。
玲蘭だとわかると伊織は、ドアを人が入れる分あけた。
「入れよ。」
「ありがと。」
伊織の部屋は音楽関係のもので溢れていた。
玲蘭は興味深く、いろいろ見ていた。
「すごいね。これは何?」
「それは、ベース。」
「ベース?」
「バンドやってるんだ。俺と楓、洋一とさりなで。ボーカルがさりな。楓はギター、洋一はドラム。」
「そっか。それでいつも、一緒にいるんだね。」
「さりな以外は幼なじみで前からつるんでいたけどね。」
「そうなんだ。バンドだなんて、素敵だね。」
「さりなの声、綺麗なんだよ。」
玲蘭はちょっと、寂しかった。
まだ好きな気持ちがあるからか、嫉妬した。
「で?なんか、話があるんじゃないの?」
急に話を切り替えて話す伊織。
玲蘭もハッと思い出す。
「山飼先生と何があったのか、知りたくて。
一年生の時は、朝比奈くん、真面目にバスケ部も頑張っていたし、山飼先生も朝比奈くんがバスケ部で活躍してたこと、誇りに思ってたみたいだし、どうして、急に歪み合うことになっちゃったのかなって。」
伊織は暫く黙った。
玲蘭は、初日から、聞いてはいけないことを聞いてしまったかもと、萎縮する。
「言いたくなかったら、いいの。ごめん。」
「玲蘭だって、知ってるだろ。俺が、バスケ部の部室で、タバコ吸った事件。」
「うん。」
「あれ、濡れ衣なんだ。」
「え!」
「俺が入ったことで、レギュラー補欠になりそうな先輩が逆恨みして、俺に押し付けてきたんだ。
いや、最初から多分それが狙いだったと思う。
今の部長の林田とかも、先輩に脅されて、俺が吸っていたって証言しやがって。
山飼も俺をすぐにクズ呼ばわりしやがった。」
「酷い.....。」
「実際、今のバスケ部の連中も羨ましかったんだろうな。山飼に贔屓されてた俺が妬ましかった気持ちがあるの、わかる。」
伊織は哀しい顔で笑った。
「山飼は俺にそれから顔を見るたびにクズクズ言いやがってさ。
生徒の本質が見えてない奴が何言ってんだよ、って思わね?」
「山飼先生はたしかに、生徒に対する態度が気になるよ。私も。」
「玲蘭だけだよ...。そんな俺にも、ちゃんと挨拶してくれてたの。俺は、玲蘭に救われてたよ。
親父も一方的に山飼の言うこと信じて、俺のこと、信じてくれなかったから。」
伊織の目は潤んでいる様に見えた。
「けど、卒業した先輩たちとしょっちゅう街ですれ違って因縁ふっかけられて喧嘩してきたのはマジだし、タバコも気持ちが荒れに荒れまくって結局吸っちゃってるしな。
こんなんが兄貴になって、玲蘭に迷惑かけたくない。だからさっき、皆んなには黙っていようって言ったんだ。」
「迷惑なんかじゃないけど。わかった。暫くは、内緒にしておこうよ。受験が近くなれば、みんな他人のことなんてどうでも良くなるよ。」
「そう、だな。」
「話てくれてありがと。」
2人の話を、廊下で慎也は聞いていた。
そして、一階へ静かに降りていった。