私のお兄ちゃん season1
帰り道、奈々と似奈と帰ろうとすると、二年生の昇降口から、智之と修也が手を振ってきていたのに気づいた。


手を振りかえしていると、奈々は、玲蘭のほっぺを指でぷにっとした。



「なんかあったの?」


「え?」


「ぼーっとしちゃって、らしくないじゃん。」


「あ、恋の悩み?」



奈々と似奈から挟まれて質問攻めで、玲蘭は、俯く。



「な、なんでもないよ。」


「なんでもなくないよ、さっきのミーティングでもぼーっとしちゃってさぁ!!」


「うん。ごめん。でも、大丈夫だから!」


「玲蘭、玲蘭は本当いつも完璧でさ、私たちも頼り切ってる。でもさ、たまには頼ってよ。私たちのこと。」


玲蘭も、奈々や似奈なら、相談できるかもと思ったが、さすがにさっきのことを考えると、言えなかった。



伊織は何を考えて、あんなことしたのか、
そればかり考えてしまう、玲蘭だった。
< 29 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop