私のお兄ちゃん season1
『ねぇ聞いてよ。バスケ部の部室で、1年がタバコ吸って、退部になったんだって。』



玲蘭のいた、生徒会室にそんな噂が流れてきた。


『えー、タバコ?嫌だなぁ。最近春央中、あまり大きな事件もなく平和だったのに。しかも、1年かよ。』


『誰?誰なの?』



『たしか.....朝比奈って子。』



『嘘よ!』


玲蘭が、突然大きな声を出すから、会長、副会長をはじめ、当時の生徒会メンバーは唖然とした。


『雨宮さん。知り合いなの?』


『朝比奈くんは、そんなこじゃないはずです。
 何かの間違いじゃ...。』


『でも、目撃証言とかもあるんだって。』



玲蘭は椅子にストンと座り込んだ。



玲蘭は信じたくなかった。
この時初めて、伊織のことが好きなんだとハッキリ意識した。



しかしながら、伊織は、それからどんどん素行が悪くなって、喧嘩の噂も絶えなかった。



みんな伊織が学校に出てきても遠巻きにしていていて、どんどん伊織に関する悪い噂が一人歩きし始めた。



それでも、玲蘭は伊織と会うと必ず挨拶をした。




『おはよう。朝比奈くん。』


『おう。』




素っ気ない返事だったがちゃんと返してくれていた。




玲蘭は伊織のことを信じていた。
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