ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─

30分たってやっと一言ルーカスが放った問いに、レイラがコクンと頷く。彼女の完璧なまでの無表情に全く色がない。なのに、ルーカスはそうかと頬を緩ませ、嬉しそうに耳先を赤くした。


アイザックは店員に借りた手鏡で、背後の二人をチラチラ盗み見ていたが、絶望してしまう。


(いやいやいやいや、ムリムリ耐えられない俺。レイラ様ってあれ楽しいの?この距離じゃ判断できない)


入店してからルーカスが話したの2回、レイラが頷いたのが1回だ。


(ルーカス様がどうしてそんな大成功みたいな顔ができるのか不思議でしょうがないんだけど、これ俺だけ?)


アイザックからすれば底辺も底辺なデートである。


アイザックがうんざりして立ち上がると、のんびりしているレイラをやっとルーカスが急かした。普段なら一切急かさないが、一応尾行中だ。ルーカスは尾行を覚えていたが、レイラは忘れていただろうことをアイザックは予想した。


「レイラ、行こう」

(え、まだお菓子が、あ、そうですわ。アイザックを追いかけなければいけませんでしたわ。あんまりルーカス様とのお茶が楽しくて忘れてしまうところでした)


大方はアイザックの予想通りだったが、残念ながらレイラは絶好調で楽しんでいた。


ルーカスはレイラのほんの2㎜だけいつもより上がった口角を見つけて至福に浸る。レイラの微々たる顔面の変化を見つけられるのはルーカスだけだった。

< 110 / 268 >

この作品をシェア

pagetop