ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─

「新しい仕事はどうなの?」

「順調だよ。今回の雇い主は金持ちで、護衛する相手も美人でね。しかも期限付きで最高に報酬が高い」

「美人さんに手出してまたクビにならないでよ?」

「そんな損になることしないよ」


誰にでも優しく笑うアイザックだが、儚げな少女に笑いかける姿は格別に優し気に見えた。ルーカスが通りかかった世話人の女性に声をかける。


「彼女のことを聞いてもいいか?」


ルーカスがアイザックたちを指さすと、ふくよかな世話人の女性はああ彼らねと柔らかく笑った。


「仲良し兄妹だよ。妹さんが薬の欠かせない病気でね」

「重いのか?」

「どれくらい生きられるか、運次第って聞いてるよ」

「そうか。いつからここに?」

「5か月くらい前かね」


ルーカスがアイザックを特別雇用し始めた時期と重なった。


「ここ入院するだけでバカ高いのに、お兄さんがんばって毎月がっつり稼いでくるんだ。

妹さんも寂しいだろうに文句一つ言わない子なんだよ。見てて泣けてくる」


ふくよかな女性は眉をハの字に傾けて、ルーカスとレイラの横を通り過ぎていった。アイザックは先程買った薄い桃色のリボンを妹の髪に飾ってすっかりお兄ちゃんの顔をしている。
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