ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
ルーカスは生真面目な人だ。レイラが近い未来に死ぬとわかっていて見過ごせないだけで、義務で仲良くしてくれている。
こんなに真摯な人に惚れるなと言う方が無理だ。
だが、ルーカスが婚約破棄を望む以上、レイラが婚約破棄したくないなどと口が裂けても言えない。レイラがこんなに素晴らしい人を困らせることを言うことはできない。
レイラはルーカスへの恋情と、時限付きの婚約に張り裂けそうな胸を抱えてルーカスの隣を歩いた。
「今度のパーティのことだが、俺ができる限り助けるから。無理しなくていい」
夜の薔薇園は月明かりの下で本当に美しいはずなのに、まるで目に入らない。歩幅を合わせて歩いてくれるルーカスの佳麗な横顔にレイラは見とれていた。
「レイラはレイラのままでいい」
交換日記に書いてしまったレイラの不安に、ルーカスが向き合う言葉をくれる。優しく許される声色とふわふわな言葉に、レイラは今日の疲れも吹っ飛ぶほどの夢見心地だった。
「座ろうか」