ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
人形が泣くような無表情なレイラの涙を、人の顔色を伺い的確に弱点を突くことで外交を成り立たせているウィリアムが見逃すわけもない。
「あれ?なんで泣くの、親切で言ったんだよ?パーティのために今日だけ無理して仲良く見せてるんでしょ?」
レイラの心にザックリ止めの斬撃が入る。違うと言いたいのに、違うとも言い切れなくて、喉に石を詰められたみたいに苦しかった。レイラは無表情で無口な人形令嬢に逆戻りだ。
「よくあるよね仮面婚約者、僕も夫婦仲良いとは言えないからわかるけど。でも君たちはまだ婚約者だから、別れればよくない?もっと相性が良い相手もいるよ」
にっこり笑うウィリアムの腕を、ルーカスが掴んだ。眉間を痙攣させたルーカスがウィリアムを鋭く睨みつけた。黙っていれば、踏み込み過ぎだ。レイラが泣くまで追い詰めるなんて、兄とはいえ許せない。
「ルーカス怒っちゃった?でもお喋りしてるだけなのに暴力はダメだよ。絶対ダメ。後から一番不利な条件叩きつけられるからね」
ルーカスが握った腕にぎりぎり力を込めると、ウィリアムは眉をしかめる程度でまた笑う。
「ルーカス、相手は僕だよ?それ、最善の対応?」