ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
(ハァ、ルーカス様、余裕がなさ過ぎる)
アイザックは肩を竦めたが、冗談が通じない兄に慣れているベルが人差し指を立てた。
「お姉様ってお喋りするとすっごく疲れちゃう体質みたい」
「お話し続けると急にスコンと眠りに落ちてしまいますね。失神に近いです」
「失神?!そんなことをし続けたらレイラの負担になるじゃないか!か弱いレイラの身体に何をしてるんだお前たちは!」
ルーカスが立ち上がって鼻息荒く憤った。だが、ルーカスの怒りにアイザックとベルは揃って首を傾げた。
「レイラ様がやりたいとおっしゃったので」
「そうよ、お姉様の意思よ。お兄様がやめろって言うのは愛じゃないわ。過保護でただの独占欲よ」
「ベル様は難しい言葉をお使いになりますね」
「大人の小説にはよく出てくるの。お兄様って偏愛の典型だわ」
ベルがエヘンとぺったんこの胸を張ってドヤ顔だ。
ベルとアイザックは互いに握手を交わしてレイラ様至上主義を掲げた。
ルーカスはストンと椅子に腰を下ろして二人の言葉を飲み込む。
たしかに、レイラの意思でやったことだ。
ルーカスがとやかく言うことではない。
ルーカスはレイラの魅力が大勢に知られることが気に入らなくて、籠の鳥でいて欲しい気持ちが強かったのだ。だから、変わっていく彼女に惹かれつつ、婚約破棄の末にどこかの男に見初められるのを恐れていた。
そして根本的に、自分を一番に頼ってくれなかったことにしょんぼりしているのだ。