ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
「君が婚約者になって5年過ぎた。
今さらちょっと話せるようになるくらいで追いつけないのわかるよね。こんな日記する前に今まで何やってたの」
レイラは「ちょっと話せるように」なるために失神するまで努力して、「こんな日記」をするために最大の勇気を振り絞ってきた。そんなレイラの頑張りなんて、ウィリアムの前に全てが無意味なのだ。
「そりゃあ礼儀作法は努力したかもしれないよ。君ほど美しい人はいない。でも話せないままじゃ意味ないよね」
ウィリアムの振りかざす正論に、レイラの積み重ねてきたものがぐちょぐちょに踏みつぶされていく。
「君より礼儀作法がなってなくても、君より美しくなくても、愛嬌があってお喋り上手の方がよっぽど役に立つよ」
どこにも反論の余地がなかった。真っ当な事実であることが、ますますレイラを闇へ放り込んで行った。
「君よりルーカスの隣が相応しい子なんていくらでもいるんだ。
君は特別に、顔が綺麗な人形令嬢なだけ」