ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─

「本人にも国にも素晴らしい利益になる。


だから、君とルーカスは婚約破棄だ。


これ、命令だから」



ウィリアムが立ち上がり、席を離れようとする。息もできなくて瀕死で混乱状態のレイラであったが、手が勝手に動き、失礼にもウィリアムの服の裾を掴んだ。


涙が絶え間なく零れ落ちる顔を持ち上げて、レイラは首を振った。


大きく、何度も首を振った。


「何、嫌なの?それくらい口で言えないの?イヤイヤ、って赤ちゃんじゃないんだから」


レイラの口が重い体質などまるで考慮しないウィリアムは正論だけで攻めてくる。


レイラは全部の力を込めて、今日の一文を生成する。自分史上一番早い言葉だったはずだ。


「ルーカス様と婚約破棄したくありません」


言葉を紡ぐのも難しい相手であるウィリアムを前に、レイラは自分の意思を告げることができた。


それはレイラの中では特別な成果だった。


「あ、そう」
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