ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
ウィリアムがルーカスにウインクして笑う。
「ルーカスはレイラ嬢に嫌われるのイヤでしょ?
だから、僕が一方的な命令で悪者になってあげようと思ったんだよ。
僕を恨んで後腐れない方が彼女のため」
人の嫌なことばかりする兄だと思っていた。だが、こんなに大きな問題を腹の中に抱える人だったのだ。
命令に従った過去のルーカスは、従順な手駒だった。
だが、畏怖していた兄に意見を真っ向から突きつけて立ち向かって来たルーカスに、ただ真面目なだけでない熱い面を見た。
そんな弟の成長を見て、ウィリアムはやっとルーカスに腹の内を明かしたのだ。
ルーカスが国を一緒に治めていくために、頼れる相手だと認めた。
「悪いけど、国のためだ。イーリス国の王女との婚姻を頼むよ、ルーカス」
ウィリアムが立ち上がり、胸に手を当てルーカスに真摯に頭を下げる。
ウィリアムは弟にさえ頭を下げ、レイラからは恨まれ完璧に悪者になる決意がある。
国を守る、固い決意だ。