ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
ルーカスが過去に出会ったレイラも、本物のレイラだ。
彼女らの気持ちがレイラには手に取るように、痛いほど明確にわかった。
パーティでの失態。
ルーカスの新しい婚約者。
ウィリアムからの婚約破棄命令。
そして、監禁魔術との皮肉な出会い。
4つの条件がそろってしまった時、
絶望した彼女たちはみんな、こう思ったんだ。
(正式に婚約破棄される前に、ルーカス様の婚約者のまま死ねたら幸運かもしれないわって)
強盗に襲われたあの日に、レイラはすでに一度そう思ってしまっていた。
レイラはルーカスとの婚約がなくなるくらいなら、生きる価値を見出せない。
ルーカス様の隣にいられないなら死にたい。
いや、もう死ぬしかない。
それくらい、どこか異常なくらいにレイラはルーカスが好きだ。
4つの条件が無情にもそろってしまった時に、過去のレイラたちは自ら死に旅立ったのだろう。
推理小説を読みなれているレイラが、自分が犯人ならと考えるとどんどん謎が解けた。簡単だ。だって犯人が自分だから。
レイラはルーカスから死んだ状況など聞かなかったが、わかってしまう。おそらく刺し傷による死だ。
(侍女たちやアイザックを無理やり追い出した結果が、こう出るのですね)
この部屋には先ほどまでリンゴの皮をむいていた侍女が残したナイフがあった。お手軽な凶器だ。レイラの推理はどんどん辻褄があっていく。
(ルーカス様は私が死ぬ日がズレると言ったわ。おそらく、この魔術の本にたどり着くまでの時間に誤差があったのではないからしら)