ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
レイラは淡々と棚を端から読み進める。本を読む速度のズレが、死ぬ日をズラす。
今回はアイザックが大雑把に棚の本をまとめて持ってきたので、何冊も飛ばして結果的に早くこの本に出会ってしまった。
もしルーカスが王城で一緒に暮らそうと言ってくれなければ、レイラは未だに実家暮らしのはずだ。
(ベル様やアイザックとのお茶会も、ルーカス様とのおしゃべりも、交換日記を書くこともなかった私はきっと、
他に楽しいことがなかったのよね)
死ぬ日が早かった時はきっと、本ばかり読んでいたのだと予測できる。
その時空のレイラを想像すると、自分のことながら憐れに思えた。さぞ寂しく、ますます一人でルーカスを深く想っていただろう。
ルーカスが多忙になり、もしお茶会に出て来なくなったとしたら。ルーカスの隣を別の女性が歩いたのを目にしたとしたら。体調が悪いなどと言って引きこもったかもしれない。
そんな想像をして、その絶望を思っただけで、過去のレイラが死の道に踏み切ったのが納得できる。
真実を知ったここにいるレイラも全く同じだった。
ルーカスが隣国の王女と結婚するのを見る前に、正式な婚約破棄の前に死んでしまいたい。